「マーガレット」  〜 グレイ×アリス 〜





(ああ、こんなことしてるなんてどうかしてる。)

うんざりしたようにそんな事を想いながら、アリスの手は自然とぷちんっと一枚の花弁を摘んだ。

道ばたで偶然見かけたことのある花を見つけて。

なんだか懐かしくなって摘んで帰ってきて部屋にいけてみた。

白い花弁を放射線状に広げた白いマーガレット。

何とはなしに一本花瓶から抜いたのは、もの凄く気の迷いだった。

ぷちん、ともう一枚。

同時に零れる言葉は。

「・・・すき」

ぷちん

「・・きらい・・・」

ぷちん

「すき・・・」

子どもっぽい遊びだって言う事は分かっているのに、どうして残りの花弁の数を見ないようにしてしまうんだろう。

(こんなので占えるはずないのに。)

零れるのはため息ばかり。

呟く度に思い浮かべる人はアリスにとってとても大人な人で、こんな遊びに興じている自分は酷く不釣り合いに感じられる。

でも。

(・・・・グレイは大人で心の中が全然見えないから、こんな事をしたくなるんだわ。)

ちょっぴり八つ当たり気味にそう思いながらアリスはぷちん、と「きらい」の花弁を抜き取った。

彼の上司であるナイトメアに言わせるとグレイの考えている事は分かりやすいという事らしいが、アリスにとってはさっぱりだ。

大切にしてくれているのは分かるけれど。

もう恋人ごっこじゃなくて、ちゃんと恋人になったって分かってるけど。

「・・・すき」

ぷちんっと白い花弁がまた一枚。

(好きなのは私だけなんじゃないかって不安になるのよ。)

「きらい、すき、きらい・・・・」

妙に悔しくなってぷちぷちと勢いよく花弁を抜いていったアリスがぴくっと手を止めた。

残りの花弁はあと2枚。

残った言葉は。

「・・・・すき」

ぷちんっと一枚の花弁を抜いた。

残っているのはあと1枚。

アリスは自嘲気味に笑った。

他愛ない遊びの残酷な結末なんてお伽噺にもなりはなしないのに。

ため息を一つついてアリスは最後の花弁に指を伸ばす。

「き」

最後の一言は。







「っ!?」

急に肩を引っ張られてアリスの身体が後ろへ揺らいだ。

驚くアリスに被さった影は ――





「―― グレイ!?」

重なっただけで唇を離したアリスの花占いの相手は珍しく悪戯っぽく笑ってアリスの手の中にあったマーガレットを抜き取った。

そして。

「最後の一枚は、君が好きだ、だな。」

「・・・・いつから見てたのよ?」

恨みがましい目でアリスに見上げられてもグレイは上機嫌に口元を上げただけ。

「花占いにならないわ。」

アリスは諦めたようにため息をついて・・・・降ってきたキスを受け止めたのだった。

―― 茎だけになったマーガレットが呆れたように床の上で転がった。











                                         〜 END 〜















(花シリーズで創作を書こうと思った時に一番に花占いをして湿っぽくなってるアリスが思い浮かびました(^^;))